海外旅行に行くときは、国外に出たら水と安全はタダではないからと、生水は飲まないことから始まって、パスポートはベルトポーチに入れて腹巻きよろしく腹部に直巻、国内感覚でスマートフォンや貴重品をテーブルなどに置いて席を離れない等々、盗難を避けるためにアレコレと神経を使った経験はありませんか。
例えば、ショルダーバックは引ったくりやナイフカットスリを避けるためにたすき掛けして、バッグ部分を身体の前で保持するという初歩的なことから、金目に見えそうなモノはボロ布で包んでカムフラージュ、ちょっとボロっぽい服を着て、歩くときは神経を張るのを四方から三方に減らすために壁に沿って歩くという、国内ではまったく意味がなさそうなソンナコンナことです。
ソンナコンナ日常に慣れた感覚で成田空港に戻ってきて到着ゲートを出たときに目にしたのは、ブランド物バックをワンショルダーで脇や腰のあたりにプラプラさせて行き来する女性たち。キャスター付きのバッグを通路に置いたままトイレに行ってしまったり、席取りにスマートフォンを置いてレジへ注文に行ったり・・・ああ日本は安全な国だなあと実感したものです。
安全はソコココに普通にあって、自分が安全を心掛ければ他人も危ないことは仕掛けてこないという国内で普通の安全感覚は、国として動植物出入りの検疫管理、人の出入りの入国管理、武力圧力対応の自衛隊などが国境をしっかりガードしてきたことの成果でしょう。世界の他の国々と較べて、周囲を海に囲まれた島国なために国境を守りやすかった面があると思いますが、先人の方々の努力に感謝したいところです。
さて、インターネットには実世界のような明確な国境がありません。世界のインターネットと自国内のネットの間に長大な壁を設けて、国の許可のない情報が出回らないように検閲管理する国内ネットを実現した国もあるようですが、日本にはそのような仕組みは存在しないようなので、検疫管理や入国管理、自衛隊のない陸続きの国境で世界と接しているというイメージになるでしょうか。
先日パリ(フランス)やベイルート(レバノン)で爆弾テロ事件があったりしたように、実世界もこのところ穏やかではありませんが、インターネットの世界は穏やかなのでしょうか、それとも荒れているのでしょうか。たまにどこそこのサーバーに侵入されて何万人の利用者情報が抜き取られたとニュースになることはありますが、そういうときを除けばインターネットの世界で日常的に起きている攻防戦についての実感がないのが普通でしょう。
実感するには視覚化した情報を見るのが一番てっとり早いと思うので、Norse社が提供しているIPViking Liveというサイトを見てみましょう。
これはNorseという会社が世界中に攻撃されやすく設定したサーバ(ハニーポット)を置いておき、そのハニーポットへのアタックをリアルタイムで視覚化して見せているそうです。攻撃されやすくとは、既知の脆弱性を対策せずに放置しておくということで、ハニーポットはいかにもな名称ですね。
アタック元と表示されているのは本当のアタック犯本拠かもしれませんし、脆弱性にアタックを受けて乗っ取られてしまいアタックの踏み台になってしまったサーバかもしれませんが、視覚化の効果は抜群です。
しばらく見ていると、ある特定の国が攻撃元になってある特定の国を攻撃しているような傾向があるように見えます。日本は主役級ではないものの、立派に脇役クラスとしてサイバー戦に参加していることもわかります。
インターネット上のWEBサーバは、このようなアタックの嵐の中に浮かんでいるようなものなので、手を抜いてセキュリティホールを放置しておく危険なことは専門家でなくてもわかります。
ここで、自分はサーバ運営をしていないから関係ないと思うのは早計です。毎日使っているAndroidやiPhoneはWEBサーバと同じようにインターネットに接しているので、WEBサーバほどではないけれども脆弱性の放置は危険なことに違いはありません。
パスポートをベルトポーチで腹部に直巻するのと同じような感覚で、携帯デバイスのセキュリティ確保を考えた方がイイですよ。
2015年11月17日