ファッション業界ではECが一般化したとはいえ、現実には古い慣習が残っていて、まだまだアナログであるといわれています。店舗の接客は俗人的なままで、テクノロジーの活用は少なく、小売店はシーズンごとの展示会に足を運び、紙の注文書や納品書を使っているという話を聞きます。最近では展示会のオンライン取引のシステム化が進んでいたり、LINEが年間通して行うオンライン展示会を行う「LINE Collection」のサービスが始まったりするなど、テクノロジーによって新しい風が吹き始めています。
先月にはテクノロジーを活用したファッション業界の新しい可能性を創造するグローバルイベントの「DECODED FASHION」が日本に上陸して、ファッション業界全体でテクノロジーの活用が模索され始めています。
イベントではスマートミラーと呼ばれるMemomiという魔法の鏡のようなデバイスが紹介されました。Memomiは服を着替えずに試着が体験できる鏡で、お客様が移った鏡に試着した姿が映し出されるもので、カラーバリエーションも鏡の中で変更ができたり、試着した服を履歴で見比べることもできて、さらに鏡の中の動画や画像をシェアすることも出来るものです。
先日からは伊勢丹新宿店でファッション人工知能のSENSYがインストールされたタブレットを活用した接客が開始されました。人工知能によってお客様の好みに合わせてコーディネートの提案を行えるようになります。SENSYでは、始めにお客様の好みを把握するためにタブレット上で表示されたアイテムの好き嫌いをお客様が選択を行い、お客様に合ったアイテムの提案を行います。選択されたデータは解析して今後のフィードバックしていくということです。
ファッション業界ではないですが、同様に先月にヤマダ電機で人工知能のWatosonを搭載したパーソナルロボットのpepperの活用を他店舗で行うと発表がありました。pepperが接客を行い、販売が成立したら在庫状況まで確認できるようになるようです。サービスの開始自体は来春の予定とのことです。
このような流れもあってかファーストリテイリングのユニクロでも実店舗とECのシームレス化を推進する新会社をアクセンチュアと設立を発表しました。細かい内容は未発表ですが、業界全体の動向を察知してのことかもしれません。
これだけファッションとテクノロジーの目立ったニュースがありましたので、これからファッション業界全体でテクノロジーを活用したケースが増えて、リアルとネットの双方向性や、リアルタイムパーソナライゼーションの時代が始まっていくと思われます。近々これまでにない買い物の体験をする機会が増えていくかもしれません。