テザリングに関して、いわゆるガラケー時代からのヘビーユーザーです。
iPhoneを使い出して、真っ先に試したのがテザリングだったような記憶があるくらい。
世の中、街角のカフェに入れば、MACBOOKやノートPCをガバッと開いてネットに接続する姿が普通になって、テザリングは今更取り上げるネタでもないとかもしれませんが、2018年を振り返ってちょっとした変化を感じたので、年末最後のネタと思い付くまま振り返って見たいと思います。
「カフェでガバッと開いてネット接続」はほとんど店のWiFi接続ポイントでしょ!と原稿書いている背中越しの声、確かに。それでは 「カフェや電車・地下鉄でガバッと」であれば納得してもらえますか、よろしく。
目次
テザリングとは?
まずはテザリングとは?という方は、そこから始めると連載になってしまうので、詳しくはwikipediaのコチラの記事あたりが良いのかと、良かったら見てみてください。
ちなみに、ネット界隈ではデザリングとテがデと訛った表記を目にしますが原語がtetheringなので、カタカナにするならばテザリングで良いのかと。
でもネイティブ日本人としてはデザリングの方が発音しやすい。外来語由来のカタカナ表記の功罪を悩むところです。
カフェあたりで見かける営業マンさんの多くは、結構な確率で会社支給のUSBドングルを、これまた会社支給のPCのUSBポートに挿してネット接続しています。もちろんこれも、先の参照先記事にもあるように立派なテザリングです。しかし、このあたりは会社のシステム部あたりの専門部隊が仕切る領域の話になるため、ここでは取り上げません。悪しからず。
そんなわけで、本稿ではAndroidもしくはiPhoneの通信機能を使うテザリングについて書いていきます。
ほとんどのノートPCやWiFiモデルのiPadやAndroidタブレットのように、LTE通信機能を持たないデバイスを外で使いたいときが、テザリングの出番です。
当社では仕事柄、たくさんの種類のAndroidデバイスやiPhoneを外でテストするときに、デバイスごとにSIMを入れて終わったら外してなんてことはやっていられないので、スマートフォンによるテザリングかモバイルWiFiルータがなくてはやっていられません。だから、そこそこ詳しくなったのです。
テザリングの種類
- Wifiテザリング
- Bluetoothテザリング
- USBテザリング
これらの種類の説明を始めるとこれも長くなるので、ドコモさんに図入りのわかりやすい説明があったので、詳しいことはコチラをご覧ください。
MVNO利用には事前確認を
本題に入る前に、テザリング機能はMNO(Mobile Network Operator)である3大キャリア(ドコモ・ソフトバンク・au)では普通に提供されていますが、MNOの回線を借りてサービスを展開する格安SIMと呼ばれるMVNO(Mobile Virtual Network Operator)では、事業者ごとの事情によって提供されるケースと提供されていないケースが混在しています。
変化の激しいMVNOの利用に先立っては、特にMVNOの回線でテザリングを利用しようとする際は、事前に確認するようにしてください。
前振りが長くなりました。
それでは本編、行きましょう。
Androidのテザリング機能(WiFiアクセスポイント、ホットスポット)
Androidはテザリングに関して言えば、iPhoneやiPadに比べてはるかに融通が利くので圧倒的に便利です。
すべてのAndroidデバイスを見ているわけではないので断言はできませんが、今どきのAndroidであれば、スマートフォンからタブレットに至るまで、各デバイスがWiFiでもBluetoothでもテザリングの親機にも子機にもなれるのが大きなメリットです。
加えて、親デバイスがWiFi接続している環境に子デバイスがBluetoothテザリング接続した場合は、子デバイスも親デバイスのWiFi接続先を共有できるから便利なのです。
普通のテザリングのイメージ
PC <-wifi-> Android <-LTE-> インターネット
Bluetoothテザリングのイメージ
PC <-bluetooth-> Android <-wifi/LTE-> インターネット
ドコモWiFiサービスを例にとると、SSID「0001domomo」にAndroidなりiPhoneが接続した場合、ドコモWiFiサービスは該当デバイスのSIMを認証にて利用者を識別して接続しています。
この状態で、該当デバイスのドコモWiFiパスワードを使って別のデバイスをドコモWiFiサービスに接続しようとしても二重ログインと見なされて接続できません。
例えば、手元にPCとドコモWiFiサービスが利用できるiPhoneが各1台あります。上記のようにiPhoneはドコモWiFiサービスを利用してネット接続しています。
この状態でPCをネットに接続しようとSSID「0000docomo」にiPhoneのドコモWiFiパスワードで接続しようとすると二重ログイン・エラーが出て接続できません。
対応としては、iPhoneのドコモWiFiサービス接続を切断してから、再度PCをドコモWiFiサービスに接続するしかありません。
しかし、ここでテザリングの親機になったデバイスがiPhoneではなくAndroidだったとします。
まずAndroidでドコモWiFiサービスを利用してネット接続します。ここでPCでSSID「0000docomo」にAndroidのドコモWiFiパスワードで接続しようとすると、同じように二重ログイン・エラーが出て接続できません・・・が、PCからAndroidにBluetoothテザリングすると、あら不思議。
PCがAndroid経由でドコモWiFiサービス経由でネット接続できるのです。
AndroidのWiFi共有Bluetoothテザリングのイメージ
PC <-bluetooth-> Android <-wifi-> Wifiアクセスポイント
AndroidではBluetoothテザリングを利用することによってWiFi接続を共有できる、ということです。残念ながら、これがiPhoneやiPadにはできない。
Bluetoothテザリングは通信速度こそ早くはないけれどかなり省電力なので、まだ試したことがない方は試す価値があります。
AndroidのWiFi共有(ブリッジ/中継)テザリングはかなり便利
さて、ここで更に一歩進んだAndroidのテザリング事情です。
気がついたのは去年登場したEssential Phone PH-1を使っていて、上記のようにbluetoothテザリングでPCからネット接続しようとして、間違ってWiFiテザリングしてしまったときのことです。
今までの感覚ではAndroidの向こう側のWiFi接続が切れてLTE接続になってしまうはずだったのに、AndroidではWiFi接続が続いていました。
こういう形態のテザリングをWiFi共有とかWiFiブリッジとかWiFi中継と表現するようです。
AndroidのWiFi共有WiFiテザリングのイメージ
PC <-wifi-> Android <-wifi-> WiFiアクセスポイント
今回、ドコモとソフトバンクから発売となったGoogle純正Pixel3/3XLでも、このWiFi共有ができるようです。ちなみに前モデルのPixel2ではできないらしいですが。
WiFi共有テザリングはBluetoothテザリングと比べて電池消耗は激しいものの通信がずっと高速なので、Pixel3/XLがあれば、どこでもPCをガバッと開いて仕事ができる、というわけです。
この機能は、手元にある他のAndroidで確認したところ、Samsung Galaxy S7/S8でもできることを確認しました。他のモデルでもこの機能があるかもしれません。お手元にここ2年くらいのAndroidがあったら試して見る価値はあると思います。
Pixel3 のWiFiテザリングの設定画面(例)
ご覧いただくのは一番早いと思いますの。見ていただくとわかるように、なんとWiFiテザリングするWiFiの周波数帯域を2.4GHz帯と5GHz帯から選択できるようになっています。当然ながら、Bluetoothテザリングも従来通り利用可です。
さて、ついでレベルの話かもしれませんが、Android 9になって便利なWiFi機能が追加になりました。
節電目的でデバイスのWifiをOFFにして、普段はWiFi接続で利用している場所に着いたにもかかわらず、WiFiをONにし忘れてずっとLTE通信を大量に使ってしまった、などということはありませんか。
これを防止する機能がAndroid 9から追加になったのです。
下記Pixel3の画面例の「WiFiを自動的にONにする」がONになってさえいれば、普段使いのWiFi電波があるところへいくと自動的にWiFiがONになってくれるのでLTE通信の無駄使いを防いでくれます。こういうところはGoogleの目の付けどころが良いと感心させてくれるところです。
iPhonesとiPadのテザリング機能(インターネット共有)
iPhoneとiPadは、正直なところAndroidと比べるとテザリング機能が貧弱です。
設定にあるインターネット共有をONにすると、その直後にWiFi接続がOFFになります。つまり、インターネット共有=テザリングは、テザリング接続手段がUSBだろうとWiFiだろうとBluetoothだろうと必ずLTE通信を使うことになる、ということです。
たった一つ、Androidよりも便利なことがあります。
iPhoneとiPad、つまりAppleのデバイス同士でテザリングを思い立ったタイミングで、相手先の「インターネット共有」がOFFになっていたとしても、こちら側から勝手にONにしてWiFiテザリングを始めることができる、というものです。
初めてWiFiテザリングをする際もWiFiパスワードを手打ちする必要もありません。ただ、思い立ったデバイス側のWiFi設定画面にあるインターネット共有にリストアップしてあるデバイス名をタップするだけでWiFiテザリングが始められる。これは便利です。ただし、これが使えるのはWiFiテザリングだけですので、念のため。
かつては脱獄という裏技も
裏技でもよければ、iOS8くらいまではiPhoneでもWiFi共有とほぼ同じテザリング機能を使う裏技があったのです。
ただし、それには脱獄(Jailbreak)という、なんとなく近寄りたくない感じがする手段でしたが、脱獄してしまえばAppleが主に自社都合でApp Storeでは配布禁止にしているたぐいのアプリを揃えたアプリストアCydiaというサイトがあって、MyWiというiPhoneをモバイルWiFiルータ化してしまう強力なテザリング・アプリ(有料)があったのです。
しかし、先週、そのCydiaの閉鎖というニュースが流れてきました。
ここ数年はiPhoneの脱獄があまり話題にならなくなっていて、振り返ってみればCydiaで便利な機能の主だったところは、AppleがiOSの新版を登場させるたびにiOS内に取り込んでしまったので、Cydiaの存在価値が薄れたということなのでしょうね。
しかし、残念ながら最強のWiFiテザリング・アプリMyWi機能はいまだ実現せず。個人的には、来年秋に出るであろうiOS13で、GoogleのPixel3レベルの機能の実現を期待したいと思っています。
iPhone、Bluetoothテザリング子機に
Android比較ではどうしても貧弱に感じてしまうiPhoneのデザリング機能ですが、最近ちょっとした発見をしました。
あるとき、WiFiモデルのiPadを、AndroidにBluetoothテザリング接続して使っていました。iPhoneには、ずっとBluetoothテザリング子機機能がなかったので、AppleはiPhoneでBluetoothテザリングするならば絶対に親機として使え、と決めてつけているのだと諦めてしまっていました。
それが間違ってiPhoneでBluetoothテザリング子機として使おうとしたら、ちゃんとiPadと同じようにBluetoothテザリング子機として使えるようになっていたので、ビックリというわけです。
調べてみたところ、iOS11からこの機能が付加されていたのこと。思い込みとは恐ろしもの、iOSの新版が出るたびに色々テストしていたのに1年以上まったく気が付きませんでした。
だからどうだ、というほどのことではないかもしれませんが、古いiPhoneをカーナビとして車で使うときに重宝しています。
2018年、締
2018年年末のテザリング事情について、あれこれ書いてきました。
少しでも参考にしていただけるところがあれば幸いです。
これで今年は終わります。
来る年もまた
弊社、株式会社イー・フュージョンを
よろしくお願いいたします。